なぜ日本でビットコインETF(上場投資信託)が今年初めて登場しないのか、米国と比べて考えるとどうしてでしょうか?
「2024年には、日本でビットコインETFの導入が検討され、国内の証券会社や信託銀行、資産運用会社、暗号資産取引所などを中心に秘密裏に議論が活発化した。」
「東京の丸の内・大手町地域では、金融規制や税制などが絡み合って、簡単には理解できない日本の現実がよくわかると業界関係者の間で話題になっています。」
要するに、「ビットコインETFが日本で来年承認されて、東京証券取引所に上場する可能性は実質的にほぼゼロに近いが、完全にないわけではない」ということになるでしょう。
いったい何が起きているのか?
ビットコインは、銀行などの仲介業者を必要とせず、個人同士で取引できる電子通貨で、分散型台帳技術であるブロックチェーンを基盤にしています。この発想は、2008年にサトシ・ナカモトという人物や団体が発表したホワイトペーパーによるものです。
米国政府はビットコインを「米国民の資産形成に役立つ資産」の一つと認識し、2024年1月にビットコイン価格に連動する投資信託が証券取引所に上場することを承認しました。
「これまで、米国金融業界の一部の大物たち、例えばJPモルガン・チェースのCEOであるジェイミー・ダイモン氏は、ビットコインを資産とみなす考えを持っていませんでした。しかし、ビットコインETFの登場により、米国の金融業界がこの技術の持続的な成長を認めるようになりました。」
「2028年までに世界中で注目されるETF市場規模は2750兆円に達する見込みです」
ETFとは、Exchange Traded Fundの意味であり、日本語では上場投資信託と呼ばれます。ファンド(投資信託)の運用や構築を行うのは資産運用会社であり、世界最大の資産を管理しているのは米国のブラックロック(BlackRock)です。日本では、野村アセットマネジメントや三菱UFJアセットマネジメントが業界を代表しています。
ファンドを通じて、投資家から資金を集め、資産運用会社が株式や債券、コモディティ商品などへの投資に活用する仕組みです。日本では、「貯蓄から投資へ」の動きを後押しするために「新NISA」が導入され、世界の有望な株式などに投資するETF「オルカン」が注目を集めました。
ETFはシェアと呼ばれる1口や2口の単位で購入され、投資家はファンドが所有・管理する資産を保有する必要はなく、資産運用会社が株や債券などの元資産を管理します。 1口当たりの価格を監視し、いつでも取引可能です。 個人が資産形成を行う際、ETFは非常に成長しており、優れた選択肢と考えられています。
「ETFを積極的に宣伝する意図はないが、1990年にカナダで誕生して以来、世界中の投資家によって好評を博し、資産形成の最も人気のある商品となった。」
「1年未満で8兆円の資金が注ぎ込まれたアメリカのビットコイン上場投資信託(ETF)」

PWCが今年3月に公表した調査結果によると、世界のETF(上場投資信託)の運用資産残高(AUM=管理資産額)は、2019年から2023年までの5年間で年平均19%の割合で増加し、2023年末時点で11.5兆ドル(約1649兆円)に達する見込みです。PWCによると、アンケート調査結果から、この市場規模は2028年6月までに19.2兆ドル(約2754兆円)に到達する可能性があるとされています。
「米国では今年、ビットコインETFが12本上場しました。これら12本のETFの総資産規模(AUM)は現在約560億ドルで、これを日本円に換算すると約8.2兆円になります。中でも運用資産残高が最も多いのはブラックロックが運営する「iShares Bitcoin Trust」で、その規模は約220億ドルです。全体のETF市場に占める割合は少ないものの、1月に上場してからわずか9カ月で8兆円以上の資金が流入しています。」
ビットコインETFを購入する投資家は、ビットコインを暗号資産専用のウォレットに保管する必要はなく、ビットコイン価格にリンクしたファンドの株式を取引できます。
ブラックロックはビットコイン(物理的保有)資産の調達と管理に関する責任を負っていますが、この業務は米国のCoinbaseに委託されています。Coinbaseは暗号通貨取引サービスを提供するだけでなく、ブロックチェーン技術の開発も行う米国の上場企業です。
日本に話を戻そう。
従来通りであれば、野村アセットマネジメントや三菱UFJアセットマネジメントなどの主要な資産運用会社が、リーダーシップを取って新しいETFの構築に参入することが期待されるが、ビットコインETFに関しては克服しなければならない重要な2つの障壁が存在しています。
金融界が直面する日本の2つの壁
最初のものは、「投資信託法」に関連するものです。通常、投資信託を設立する際にその権限を行使する法律を指し、「投資信託及び投資法人に関する法律」と正式に呼ばれています。
「現行の投資信託法では、投資信託(ファンド)が投資できる資産が限定されています。具体的には、暗号資産(仮想通貨)のようなビットコインは、その範囲外とされています。ビットコインを投資信託の中で取り扱うためには、投信法を改定する必要があります。」
この件に関して、金融庁長官の井藤英樹氏はどのような説明をしているのでしょうか。
井藤長官は8月、ブルームバーグのインタビューで、「国内でも承認するかどうかを慎重に検討する必要がある」と述べました。また、「投資信託は国民の長期的で安定した資産形成を目的とし、暗号資産がその制度に合致するかどうかについては、まだ疑問視する声が多いかもしれない」とも述べています。
「鈴木俊一財務大臣は、8月に別の記者会見でこの問題に触れ、以下のように述べている。」
「ETFを構成する際には、現行の投資信託法に基づく方法を採用する必要がありますが、「現行の規制では、ビットコインなどの暗号資産を主要な投資対象として含む投資信託を組成することはできません……。規制を変更して、ビットコインなどの暗号資産を主要な投資対象として認めるかについては、このような資産がそのような大義に相応しいものかどうかを慎重に検討すべきではないでしょうか」。
過去5年間、米国の資産運用会社は何度もビットコインETFの上場申請を提出してきましたが、これは米政府によって却下されてきました。日本の財務大臣や金融庁長官の返答があまり明確でないのを聞いていると、日本の状況は数年前の米国と似ているように思えます。
「投資信託法でETFを制作することができない場合、信託法に基づいてETFを設定できないだろうか?」

したがって、ビットコインETFを発行する方法として、「受益証券の発行信託」と呼ばれる方法を「信託法」という別の法律に基づいて採用することは可能であるかもしれない。
言葉を変えれば、「受益証券発行信託」とは何かと言うと、資産を信託して有価証券である「受益証券」を作ることで、その資産の取引や流通を促進するしくみのことです。実際、このやり方を用いて上場信託を結成した過去のケースも存在します。
2010年に三菱UFJ信託が東証に上場させた純金を対象としたファンドで、「金の果実」という名前で知られているものがあります。このファンドは受益証券発行信託のスキームを使用しており、投信法上では「特定資産」とは定義されていません。つまり、金の果実のようなファンドは作成可能ですが、「ビットコインの果実」のようなファンドは作成できない可能性があります。ただし、金の果実ファンドは投信法には拘束されていないものの、純金は投信法の特定資産に該当します。
金融業界からは、「法的・制度上において実現不可能ではない。探求すべき価値はあるが、過去の事例が存在しない」という声が聞こえてくる。
日本の暗号資産業界において、既によく知られている課題であるのが、「税制」です。
「ビットコインをビットコインETFが持っていく?」
日本の法律によれば、暗号資産の利益は雑所得と見なされ、最高で55%の税率で総合課税されます。一方、ETFの取引による利益は分離課税が適用され、20%の一律税率が課されます。
もしビットコインETFが登場し、そのETFにかかる税金が20%の分離課税であるならば、ビットコイン現物取引にも同じ分離課税制度が適用されるべきだという意見が出てきています。現行の税制下でビットコインETFが市場に登場すると、ビットコインの実物取引サービスとETFが競い合う状況になり、結果的に一定数の投資家が税率の低いETFに流れてしまう可能性があると、一部の暗号通貨取引業者が主張しています。
日本の暗号通貨取引業界の団体であるJCBAは、暗号通貨の利益に対する税制の改正案を提出していますが、政府における税制改革は容易なことではないという現実があります。
「一般的に、株や債券による資産形成が個人の長期的かつ安定的な収入を確保できるとは考えられていないが、ビットコインやイーサリアムといったブロックチェーン技術を基盤とする仮想通貨であるBTCやETHに連動するETFは、米国では個人が資産を形成する際の1つの選択肢と見なされている。」
実際に、カリフォルニア州政府はブロックチェーンを利用し、自動車の登録業務をデジタル化するプロジェクトを進めています。米国の経済および社会基盤の再構築において、ブロックチェーンは重要な技術基盤の一つとして位置付けられています。
ワイオミング州政府が、ブロックチェーン技術を利用して米ドルに固定されたステーブルコインを発行する構想を発表し、それを実現するための法律を制定した。
業界を驚かせたブルームバーグの9月報道

9月の最後の日、ブルームバーグによると、金融庁が暗号資産規制の見直しに取り組むことを発表したことで、業界は驚きを隠せなかった。
日本におけるビットコインなどの暗号資産は現在、「資金決済法」によって規制されていますが、今後の議論によっては、暗号資産が「金融商品取引法(金商法)」の対象となる可能性があるとされています。
一般消費者が暗号資産を取引する際、その目的はほとんどが「投資」であるため、金融庁は現在の暗号資産に対する資金決済法の規制が適切かどうかを、今後数カ月で検証すると発表した。もし現行の規制が投資家を保護するのに不十分であると結論付けられた場合、資金決済法を改正すべきか、または暗号資産を金商法の対象とすべきか、という議論が行われる可能性がある。
もし暗号資産が「決済手段ではなく、むしろ金融商品・金融資産」と位置づけられ、金商法の規制対象となった場合、暗号資産業界は税制の改定を求めていたことから利益を得る可能性がある。さらに、ビットコインが金融商品・金融資産とみなされると、ETF(上場投資信託)の国内組成や上場が現実味を帯びてくることになる。
しかし、金融商品取引法の適用により暗号資産が規制される場合、投資家保護の強化を含め、この業界に厳しい規制圧力が加えられることが予想されます。
関係者への取材によると、金融庁が行っている見直し作業はおそらく年末まで続く見込みです。現時点では、議論の進め方が確定しておらず、中立な立場で検討が進んでいる状況です。
ビットコインETFが生まれても新たな壁が
「日本でビットコインETFが誕生し、東京証券取引所で上場が承認されたとしても、資産運用会社は新たな問題に直面することになるであろうと、あるマネー関係者が丸の内周辺で語っている。」
ファンドを運営する際には、投資家から調達した日本円を使い、競争力のある価格で大量のビットコインを入手する必要があります。
「日本には、機関投資家向けの大口ビットコイン取引を扱ってきた実績がないとされる。さらに、日本円で海外からビットコインを入手した場合でも、その取引には売り手に日本円を送金する必要がある。」
国内の仮想通貨取引所を通じて取引を行う場合、売り手の本人確認が必要とされる海外からの取引では、マネーロンダリングとテロ資金供与防止の観点から身元確認(KYC)が求められます。仮想通貨(ビットコイン)を入手する際には、法定通貨での国際送金は主に大手銀行を介して行われますが、大手銀行は類似の取引依頼に対して過去に拒否の経験があります。
銀行の立場から見ると、マネーロンダリング防止の観点から、過去に先例のない暗号通貨関連の送金取引を受け入れることは、外国為替業務全体に悪影響を与えるリスクになります。そのリスクを冒してまで、暗号資産関連の送金業務を引き受ける必要はないと判断するのは特に不思議ではありません。
もしビットコインETFが日本で取引開始されると、それを取り巻く新たなビジネスが日本国内でも展開される可能性があります。ETFを運用する際に必要となるビットコインの保管・管理を行うカストディサービスは、アメリカのCoinbaseが取り組んできた暗号資産ビジネスの一環です。
もし、ビットコインを基礎資産とする大規模ファンドが作られるようになれば、国内でもビットコインの実際の取引量が多い取引方法が巧みに行われるようになるだろう。
下準備を進める野村とSBI

野村ホールディングスやSBIホールディングスは、この状況下でデジタル資産ビジネスを拡大するための下地作りとも取れる取り組みを進めてきている。
SBIは、アメリカの長老である資産運用企業であるフランクリン・テンプルトンと協力して、デジタル資産の投資商品の開発を始めることを発表しました。フランクリン・テンプルトンは、ビットコインETF、イーサリアムETFを米国市場に投入する一方、短期国債などで構成されるファンドをブロックチェーン技術を用いてトークン化した商品を販売する実績があります。
野村はスイスで立ち上げたレーザーデジタルを通じて、ビットコインやイーサリアムの取引事業を機関投資家向けに展開しています。もし野村グループ傘下の野村アセットマネジメントが日本で暗号資産を取り扱うファンドを立ち上げるならば、レーザーデジタルのノウハウが活用されるでしょう。
「仮想通貨はブロックチェーン技術による1つの応用であり、その市場はグローバルに成長してきました。国内市場をリードしているのは仮想通貨取引所であり、金融機関やテクノロジー企業です。」
国家戦略の一環として政府がブロックチェーン技術を基盤とする「Web3」を重要視していますが、この新しい国内産業が発展するためには、暗号資産に関する税制や法律の見直しが必要ではないでしょうか。
もし政府が最終的に、ブロックチェーン技術の革新が日本の「長期的かつ安定的な社会基盤」を向上させる必要性を認めないと判断すれば、状況は一変するでしょう。
「文章提供:佐藤茂、先頭の画像提供:Shutterstock、東京の丸の内・八重洲地域」
なぜ日本でビットコインETF(上場投資信託)が今年初めて登場しないのか、米国と比べて考えるとどうしてでしょうか?
「2024年には、日本でビットコインETFの導入が検討され、国内の証券会社や信託銀行、資産運用会社、暗号資産取引所などを中心に秘密裏に議論が活発化した。」
「東京の丸の内・大手町地域では、金融規制や税制などが絡み合って、簡単には理解できない日本の現実がよくわかると業界関係者の間で話題になっています。」
要するに、「ビットコインETFが日本で来年承認されて、東京証券取引所に上場する可能性は実質的にほぼゼロに近いが、完全にないわけではない」ということになるでしょう。
いったい何が起きているのか?
ビットコインは、銀行などの仲介業者を必要とせず、個人同士で取引できる電子通貨で、分散型台帳技術であるブロックチェーンを基盤にしています。この発想は、2008年にサトシ・ナカモトという人物や団体が発表したホワイトペーパーによるものです。
米国政府はビットコインを「米国民の資産形成に役立つ資産」の一つと認識し、2024年1月にビットコイン価格に連動する投資信託が証券取引所に上場することを承認しました。
「これまで、米国金融業界の一部の大物たち、例えばJPモルガン・チェースのCEOであるジェイミー・ダイモン氏は、ビットコインを資産とみなす考えを持っていませんでした。しかし、ビットコインETFの登場により、米国の金融業界がこの技術の持続的な成長を認めるようになりました。」
「2028年までに世界中で注目されるETF市場規模は2750兆円に達する見込みです」
ETFとは、Exchange Traded Fundの意味であり、日本語では上場投資信託と呼ばれます。ファンド(投資信託)の運用や構築を行うのは資産運用会社であり、世界最大の資産を管理しているのは米国のブラックロック(BlackRock)です。日本では、野村アセットマネジメントや三菱UFJアセットマネジメントが業界を代表しています。
ファンドを通じて、投資家から資金を集め、資産運用会社が株式や債券、コモディティ商品などへの投資に活用する仕組みです。日本では、「貯蓄から投資へ」の動きを後押しするために「新NISA」が導入され、世界の有望な株式などに投資するETF「オルカン」が注目を集めました。
ETFはシェアと呼ばれる1口や2口の単位で購入され、投資家はファンドが所有・管理する資産を保有する必要はなく、資産運用会社が株や債券などの元資産を管理します。 1口当たりの価格を監視し、いつでも取引可能です。 個人が資産形成を行う際、ETFは非常に成長しており、優れた選択肢と考えられています。
「ETFを積極的に宣伝する意図はないが、1990年にカナダで誕生して以来、世界中の投資家によって好評を博し、資産形成の最も人気のある商品となった。」
「1年未満で8兆円の資金が注ぎ込まれたアメリカのビットコイン上場投資信託(ETF)」

PWCが今年3月に公表した調査結果によると、世界のETF(上場投資信託)の運用資産残高(AUM=管理資産額)は、2019年から2023年までの5年間で年平均19%の割合で増加し、2023年末時点で11.5兆ドル(約1649兆円)に達する見込みです。PWCによると、アンケート調査結果から、この市場規模は2028年6月までに19.2兆ドル(約2754兆円)に到達する可能性があるとされています。
「米国では今年、ビットコインETFが12本上場しました。これら12本のETFの総資産規模(AUM)は現在約560億ドルで、これを日本円に換算すると約8.2兆円になります。中でも運用資産残高が最も多いのはブラックロックが運営する「iShares Bitcoin Trust」で、その規模は約220億ドルです。全体のETF市場に占める割合は少ないものの、1月に上場してからわずか9カ月で8兆円以上の資金が流入しています。」
ビットコインETFを購入する投資家は、ビットコインを暗号資産専用のウォレットに保管する必要はなく、ビットコイン価格にリンクしたファンドの株式を取引できます。
ブラックロックはビットコイン(物理的保有)資産の調達と管理に関する責任を負っていますが、この業務は米国のCoinbaseに委託されています。Coinbaseは暗号通貨取引サービスを提供するだけでなく、ブロックチェーン技術の開発も行う米国の上場企業です。
日本に話を戻そう。
従来通りであれば、野村アセットマネジメントや三菱UFJアセットマネジメントなどの主要な資産運用会社が、リーダーシップを取って新しいETFの構築に参入することが期待されるが、ビットコインETFに関しては克服しなければならない重要な2つの障壁が存在しています。
金融界が直面する日本の2つの壁
最初のものは、「投資信託法」に関連するものです。通常、投資信託を設立する際にその権限を行使する法律を指し、「投資信託及び投資法人に関する法律」と正式に呼ばれています。
「現行の投資信託法では、投資信託(ファンド)が投資できる資産が限定されています。具体的には、暗号資産(仮想通貨)のようなビットコインは、その範囲外とされています。ビットコインを投資信託の中で取り扱うためには、投信法を改定する必要があります。」
この件に関して、金融庁長官の井藤英樹氏はどのような説明をしているのでしょうか。
井藤長官は8月、ブルームバーグのインタビューで、「国内でも承認するかどうかを慎重に検討する必要がある」と述べました。また、「投資信託は国民の長期的で安定した資産形成を目的とし、暗号資産がその制度に合致するかどうかについては、まだ疑問視する声が多いかもしれない」とも述べています。
「鈴木俊一財務大臣は、8月に別の記者会見でこの問題に触れ、以下のように述べている。」
「ETFを構成する際には、現行の投資信託法に基づく方法を採用する必要がありますが、「現行の規制では、ビットコインなどの暗号資産を主要な投資対象として含む投資信託を組成することはできません……。規制を変更して、ビットコインなどの暗号資産を主要な投資対象として認めるかについては、このような資産がそのような大義に相応しいものかどうかを慎重に検討すべきではないでしょうか」。
過去5年間、米国の資産運用会社は何度もビットコインETFの上場申請を提出してきましたが、これは米政府によって却下されてきました。日本の財務大臣や金融庁長官の返答があまり明確でないのを聞いていると、日本の状況は数年前の米国と似ているように思えます。
「投資信託法でETFを制作することができない場合、信託法に基づいてETFを設定できないだろうか?」

したがって、ビットコインETFを発行する方法として、「受益証券の発行信託」と呼ばれる方法を「信託法」という別の法律に基づいて採用することは可能であるかもしれない。
言葉を変えれば、「受益証券発行信託」とは何かと言うと、資産を信託して有価証券である「受益証券」を作ることで、その資産の取引や流通を促進するしくみのことです。実際、このやり方を用いて上場信託を結成した過去のケースも存在します。
2010年に三菱UFJ信託が東証に上場させた純金を対象としたファンドで、「金の果実」という名前で知られているものがあります。このファンドは受益証券発行信託のスキームを使用しており、投信法上では「特定資産」とは定義されていません。つまり、金の果実のようなファンドは作成可能ですが、「ビットコインの果実」のようなファンドは作成できない可能性があります。ただし、金の果実ファンドは投信法には拘束されていないものの、純金は投信法の特定資産に該当します。
金融業界からは、「法的・制度上において実現不可能ではない。探求すべき価値はあるが、過去の事例が存在しない」という声が聞こえてくる。
日本の暗号資産業界において、既によく知られている課題であるのが、「税制」です。
「ビットコインをビットコインETFが持っていく?」
日本の法律によれば、暗号資産の利益は雑所得と見なされ、最高で55%の税率で総合課税されます。一方、ETFの取引による利益は分離課税が適用され、20%の一律税率が課されます。
もしビットコインETFが登場し、そのETFにかかる税金が20%の分離課税であるならば、ビットコイン現物取引にも同じ分離課税制度が適用されるべきだという意見が出てきています。現行の税制下でビットコインETFが市場に登場すると、ビットコインの実物取引サービスとETFが競い合う状況になり、結果的に一定数の投資家が税率の低いETFに流れてしまう可能性があると、一部の暗号通貨取引業者が主張しています。
日本の暗号通貨取引業界の団体であるJCBAは、暗号通貨の利益に対する税制の改正案を提出していますが、政府における税制改革は容易なことではないという現実があります。
「一般的に、株や債券による資産形成が個人の長期的かつ安定的な収入を確保できるとは考えられていないが、ビットコインやイーサリアムといったブロックチェーン技術を基盤とする仮想通貨であるBTCやETHに連動するETFは、米国では個人が資産を形成する際の1つの選択肢と見なされている。」
実際に、カリフォルニア州政府はブロックチェーンを利用し、自動車の登録業務をデジタル化するプロジェクトを進めています。米国の経済および社会基盤の再構築において、ブロックチェーンは重要な技術基盤の一つとして位置付けられています。
ワイオミング州政府が、ブロックチェーン技術を利用して米ドルに固定されたステーブルコインを発行する構想を発表し、それを実現するための法律を制定した。
業界を驚かせたブルームバーグの9月報道

9月の最後の日、ブルームバーグによると、金融庁が暗号資産規制の見直しに取り組むことを発表したことで、業界は驚きを隠せなかった。
日本におけるビットコインなどの暗号資産は現在、「資金決済法」によって規制されていますが、今後の議論によっては、暗号資産が「金融商品取引法(金商法)」の対象となる可能性があるとされています。
一般消費者が暗号資産を取引する際、その目的はほとんどが「投資」であるため、金融庁は現在の暗号資産に対する資金決済法の規制が適切かどうかを、今後数カ月で検証すると発表した。もし現行の規制が投資家を保護するのに不十分であると結論付けられた場合、資金決済法を改正すべきか、または暗号資産を金商法の対象とすべきか、という議論が行われる可能性がある。
もし暗号資産が「決済手段ではなく、むしろ金融商品・金融資産」と位置づけられ、金商法の規制対象となった場合、暗号資産業界は税制の改定を求めていたことから利益を得る可能性がある。さらに、ビットコインが金融商品・金融資産とみなされると、ETF(上場投資信託)の国内組成や上場が現実味を帯びてくることになる。
しかし、金融商品取引法の適用により暗号資産が規制される場合、投資家保護の強化を含め、この業界に厳しい規制圧力が加えられることが予想されます。
関係者への取材によると、金融庁が行っている見直し作業はおそらく年末まで続く見込みです。現時点では、議論の進め方が確定しておらず、中立な立場で検討が進んでいる状況です。
ビットコインETFが生まれても新たな壁が
「日本でビットコインETFが誕生し、東京証券取引所で上場が承認されたとしても、資産運用会社は新たな問題に直面することになるであろうと、あるマネー関係者が丸の内周辺で語っている。」
ファンドを運営する際には、投資家から調達した日本円を使い、競争力のある価格で大量のビットコインを入手する必要があります。
「日本には、機関投資家向けの大口ビットコイン取引を扱ってきた実績がないとされる。さらに、日本円で海外からビットコインを入手した場合でも、その取引には売り手に日本円を送金する必要がある。」
国内の仮想通貨取引所を通じて取引を行う場合、売り手の本人確認が必要とされる海外からの取引では、マネーロンダリングとテロ資金供与防止の観点から身元確認(KYC)が求められます。仮想通貨(ビットコイン)を入手する際には、法定通貨での国際送金は主に大手銀行を介して行われますが、大手銀行は類似の取引依頼に対して過去に拒否の経験があります。
銀行の立場から見ると、マネーロンダリング防止の観点から、過去に先例のない暗号通貨関連の送金取引を受け入れることは、外国為替業務全体に悪影響を与えるリスクになります。そのリスクを冒してまで、暗号資産関連の送金業務を引き受ける必要はないと判断するのは特に不思議ではありません。
もしビットコインETFが日本で取引開始されると、それを取り巻く新たなビジネスが日本国内でも展開される可能性があります。ETFを運用する際に必要となるビットコインの保管・管理を行うカストディサービスは、アメリカのCoinbaseが取り組んできた暗号資産ビジネスの一環です。
もし、ビットコインを基礎資産とする大規模ファンドが作られるようになれば、国内でもビットコインの実際の取引量が多い取引方法が巧みに行われるようになるだろう。
下準備を進める野村とSBI

野村ホールディングスやSBIホールディングスは、この状況下でデジタル資産ビジネスを拡大するための下地作りとも取れる取り組みを進めてきている。
SBIは、アメリカの長老である資産運用企業であるフランクリン・テンプルトンと協力して、デジタル資産の投資商品の開発を始めることを発表しました。フランクリン・テンプルトンは、ビットコインETF、イーサリアムETFを米国市場に投入する一方、短期国債などで構成されるファンドをブロックチェーン技術を用いてトークン化した商品を販売する実績があります。
野村はスイスで立ち上げたレーザーデジタルを通じて、ビットコインやイーサリアムの取引事業を機関投資家向けに展開しています。もし野村グループ傘下の野村アセットマネジメントが日本で暗号資産を取り扱うファンドを立ち上げるならば、レーザーデジタルのノウハウが活用されるでしょう。
「仮想通貨はブロックチェーン技術による1つの応用であり、その市場はグローバルに成長してきました。国内市場をリードしているのは仮想通貨取引所であり、金融機関やテクノロジー企業です。」
国家戦略の一環として政府がブロックチェーン技術を基盤とする「Web3」を重要視していますが、この新しい国内産業が発展するためには、暗号資産に関する税制や法律の見直しが必要ではないでしょうか。
もし政府が最終的に、ブロックチェーン技術の革新が日本の「長期的かつ安定的な社会基盤」を向上させる必要性を認めないと判断すれば、状況は一変するでしょう。
「文章提供:佐藤茂、先頭の画像提供:Shutterstock、東京の丸の内・八重洲地域」