JPYC社が金融庁から月内にも資金移動業として登録を受け、国内初となる円建てステーブルコインを秋にも発行する見込みであると8月17日、日経新聞が報じた。
CoinDesk JAPANの取材に対し、JPYC社の岡部典孝代表取締役は報道内容が事実であることを認めた。同社は明日以降、金融庁のサイトに登録されたタイミングで正式なリリースと記者会見を行う予定という。
なお、CoinDesk JAPANでは今年3月、岡部氏へのインタビューに基づき、同社が日本初の円連動型ステーブルコインを今夏にも発行する方針であることを報じている。
2023年6月施行の改正資金決済法に基づき、国内で初めて円建てステーブルコインの発行が認められる事例となる。同法の下、ステーブルコインは「電子決済手段」として暗号資産(仮想通貨)と区別され、発行ライセンスを持つ事業者が取り扱うことが可能となった。
JPYC社が発行予定の「JPYC」は、1JPYC=1円の価値を維持するため、裏付け資産として預金や国債を保有する。日経新聞によると、JPYCは国際送金や法人決済、DeFi(分散型金融)での活用が想定されており、同社は今後3年間で1兆円の発行を目指しているという。
今回JPYC社が取得するライセンスは、資金移動業の中でも送金上限額が1件あたり100万円以下となる「第二種資金移動業」に該当するとみられる。
世界のステーブルコイン市場は拡大を続けており、暗号資産マーケットメーカーKeyrockのレポートによると、その年間決済額は2030年末までに1兆ドル(約148兆円、1ドル=148円換算)を超える可能性があると予測されている。
現在の市場は米ドル建てが中心であり、特にテザー(USDT)とUSDコイン(USDC)が流通量の大半を占め、市場を牽引している。今年3月には、SBI VCトレードが国内取引所として初めてUSDCの取り扱いを始めた。
|文:栃山直樹
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