2025年には、海外不動産投資がセキュリティトークン(デジタル証券)を利用して実現される見込みです。
セキュリティトークン(ST)やステーブルコイン(SC)の発行や管理基盤を専門とするProgmat(プログマ)が主催する「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」は、会員組織数282を誇る団体です。12月12日、同コンソーシアムが設立した「STアセット拡張ワーキング・グループ(WG)」が、ST化対象アセットを広げる取り組みとして、海外不動産STの実現に関する検討結果の中間整理を公表しました。
「STアセット拡張WGは、この度第1期として、海外不動産を重点的なST対象とし、「中間整理」をまとめることにしました。」
「次の第2期で、海外不動産のセキュリティトークン化に向けて新たなアセットの検討を開始し、同時に海外不動産のSTに関しては、2025年までに具体的な案件を発行する目標を掲げ、会員企業と共同で個別のプロジェクトを実施する方針としています。」
「詳細をまとめた「中間整理」は、以下のURLからご覧いただけます。WG中間整理:https://speakerdeck.com/progmat/wg-dcc-st-asset-expansion」
複数物件で発行に向けた動き
Progmat代表取締役の齊藤達哉氏によると、すでに米国の有名ホテルなど複数の物件で不動産STの発行に向けて動き出しているという。これまで国内物件に限定されていた不動産STが、これを実現することで、個人投資家が海外不動産にも簡単に投資できるようになる見込みだ。
「海外に投資する際の選択肢として、海外不動産を含む不動産投資信託(REIT)がありますが、REITは複数の不動産を一括して管理するため、特定の不動産に直接投資することができません。それに対して、セキュリティトークンは個別の不動産に焦点を当てることができるため、具体的なイメージが容易であり、海外の不動産でも新しい触れる感覚を体験できます。」
「海外では日本よりも金利が高く、不動産投資においても高い収益が見込めると言われています。」
ST「一時停止」の理由
同日、ProgmatはSTに関する最新情報をまとめた資料を公開しました。STは2020年の法制化以来急速に成長してきましたが、2024年においては、新たなアプローチとして映画製作委員会への出資を対象とするSTが登場しました。一方、不動産STに関しては案件数が横ばいであり、組成金額の伸び率も鈍化していると報告されています。

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2024年に、特に第2四半期以降、STの発行が「一時停止」された理由は、ST発行スキームの要である受益証券発行信託が「2つの税制改正」に関する要望中であるためです。これらの税制改正が実施されると、「動産ST」「出資持分ST」「海外アセットST」が発行可能になり、2025年では税制改正に対応した「新しいアセット」と、ステーブルコインを利用した「新たな取引形態」が注目されるでしょう。
齊藤氏は、STアセット拡張WGの報告書を参考にして、「STが海外不動産市場に浸透すると、発行件数や発行額が更に増加する可能性がある」と述べています。
「文章提供:CoinDesk JAPAN編集部。画像:海外ホテルのストックフォト(Shutterstock)」