「B Dash Ventures(ビーダッシュベンチャーズ)とHashed(ハッシュド)が共同で主催した「ブロックチェーンリーダーズサミット東京2025(BLS Tokyo 2025)」が8月27日、東京で開催されました。規制、ステーブルコイン、知的財産(IP)とブロックチェーンの融合などに焦点を当てたイベントでは、HashedのCEOであるサイモン・キム氏とB Dash Venturesのディレクターである西田隆一氏が冒頭で対談を行いました。」
「キム氏は、JPYCの承認による注目を集めるステーブルコインに関して、『ブロックチェーンアプリケーションの拡大に不可欠な基盤』と述べました。さらに、日本が「円」というグローバル通貨と、世界中で愛される「アニメ」というIPを持っていることを指摘し、「Web3市場において潜在的な力を持つ“眠れる獅子”であると強調しました。」
円ステーブルコインの潜在需要
キム氏は、韓国ウォン建てのステーブルコイン発行に関するニュースが出たものの、海外からの需要は限られていたと報告されました。しかし、円建てのステーブルコインには大きな潜在需要があると述べました。
「韓国ウォンが世界の基軸通貨としての地位を持たないように、日本円には遥かに多くの需要があると考えられます。また、ステーブルコインは通貨の代替手段に留まらず、インフラとして広く普及していくでしょう。」
「具体的には、ステーブルコインは支払い手段だけでなく、スマートコントラクトの基盤として機能し、そこから多様な新しいアプリケーションが生まれる可能性があると述べました。」
深圳で見た「日本アニメ人気」

「論争は日本のアニメ業界に波及した。幼少期から日本のアニメに熱狂的だったというキム氏が、中国・深センのショッピングモールを訪れたときの出来事に触れた。」
「深センの大型デパートは、まるで日本の秋葉原のような雰囲気だった。B1やB2フロアには日本のキャラクターがたくさん描かれ、アニメカフェも併設されていた」
「日本のアニメコンテンツが海外でますます人気を博している中、ブロックチェーン技術との統合例はまだそれほど多くないと指摘されています。将来的には、アニメコンテンツとブロックチェーンを融合させることで大きな成長の可能性があると述べられました。」
ハリウッドを超える収益性
「アニメコンテンツの収益性に触れつつ、日本のWeb3市場においては「アニメIPを有効活用すべき」との提案も行った。」
キムCEOは、「『アバター』シリーズのハリウッドでの売り上げは約40億ドルですが、『鬼滅の刃』は1年間で8〜9億ドルの収益を上げました。このように、日本のアニメIPはすでにハリウッドを上回る収益性を示している」と述べました。
しかし、現時点では、ファンが「長年にわたる支持」を証明する機構はほとんど存在しないと言える。
「『ワンピース』のファン歴は長いが、それをデジタル上で証明する手段がない。所有しているのはフィギュアのみだ。日本のファン文化をテクノロジーで包括的に捉えることができれば、スマートコントラクトを活用した新しいプラットフォームを創出できる可能性があると考える」。
K-POPから学ぶトークンガバナンス
「ファンダムにブロックチェーンを活用する具体的な例として、Hashedが投資し、キム氏自らも積極的に関わっているK-POPプロジェクト「tripleS」を紹介しました。このプロジェクトでは、グループのメンバー選定や次の曲のタイトル決定など重要な意思決定をブロックチェーン上で行い、さらにシーズンごとのデジタルパスポートを発行して、リアルイベントへの参加権などを提供しています。」
重要なのは、ユーザーがブロックチェーンを意識しないことです。弊社のプラットフォームでは、「ブロックチェーン」や「NFT」といった用語は使用されません。ユーザーは、Web2と同じようにプラットフォームを利用しますが、裏側のインフラストラクチャーやデータは全てブロックチェーン上にあります。そのため、投票結果やデータは全て信頼性の高いものとなります。
最終的に、キム氏は日本のアニメ業界において、制作段階からファンや外部ベンダーが参加できる仕組みの可能性を示唆した。
「ファンが制作過程に参加することで、作品への愛着やリアリティが大幅に向上する。日本の人気アニメでも、物語や世界観構築に参加できる機会を提供すると、ファンコミュニティの需要は急激に拡大する可能性があるだろう」。
日本のアニメに熱心なファンであるキム氏が、「眠れる獅子」と形容した日本市場に対して強い期待を抱いて語った意向が感じられました。それが伝わる対談でした。
|文・写真:増田隆幸