2022年4月に、金融商品取引法の内閣府令が改正・施行され、日本国内で合同会社型の分散型自治組織(DAO)を設立することが可能になった。合同会社型のDAOは、社員権トークンを販売して資金を調達し、その資金を元に他のトークンと組み合わせて事業を拡大できるようになっている。
「現在、合同会社型のDAOが複数存在していますが、成功と評価される具体的な事例はまだ見当たりません。本当にDAOが、今後日本の地方や地域社会を活性化し、衰退している地域経済を立て直すことができるのか。そして、そのためにはどのような取り組みが必要なのか。」
2024年7月に二期目に入った「N.Avenue club」は、CoinDesk JAPANを運営するN.Avenueによって提供される、Web3に焦点を当てた大手企業のビジネスリーダーを対象とした有料コミュニティサービスです。最新の第2回ラウンドテーブルVol.14は、8月15日に開催され、「DAO」がテーマとなりました。
「分散型自治組織(DAO)を使って地方の活性化や再生にどう貢献できるかについて、必要な取り組みについて討論しました。Web3やDAOの普及に努める政治家や、弁護士であり起業家でもある方、さらには国内外で法人の設立とDAO向けツールの開発に携わる起業家も参加し、具体的な事例を紹介しながら参加者からの質問にも回答しました。」
「ラウンドテーブルはメンバー限定のクローズドイベントとなっておりますので、こちらでは当日のプレゼンテーションや議論の要点について、簡単にご紹介いたします。」
冒頭でステージに立ったのは、自民党デジタル社会推進本部のweb3プロジェクトチーム(web3PT)の事務局長であり、衆議院議員でもある川崎ひでと氏でした。
川崎氏は、ラウンドテーブルの前日に岸田首相が次期総裁選への出馬を見送ると表明したことを取り上げ、岸田内閣がWeb3を国家戦略の一環として積極的に取り組んでいたことを紹介しました。次の政権が始まってもWeb3の進展を途切れさせずに継続するため、参加者に対して積極的なアクションと発信を継続するよう呼びかけました。
川崎氏が所属するweb3PTは、昨秋からDAOの法的側面を考慮することを目的として、DAOルールメイクハッカソンを開催しています。関係者や事業者からの意見を集約し、政策提言として公表しています。
「川崎氏は、例えば伊賀市のような地方で人口が減少すると、地域の発展に向けた斬新なアイデアも減ることになると指摘しました。しかし、DAO(分散自治組織)を活用することで、伊賀市に住んでいなくても、伊賀やその忍者たちを心から愛する人々が貢献できると主張しています。さらに、「地方の振興を図りつつ、企業にも利益をもたらしていきたい」と述べ、地域や地方を中心に活動するDAOが、地域の発展に貢献するだけでなく、関わる企業にもプラスの影響をもたらすことを目指す姿勢を明確にしました。」
その次に登壇したのは、共創DAOの共同創設者である本嶋孔太郎氏でした。業界関係者には「マックさん」という愛称で親しまれることも多い本嶋氏は、独立する以前は大手法律事務所である森・濱田松本法律事務所に勤務していた弁護士です。彼はスタートアップ、ディープテック(web3、AI、データ、バイオヘルス)、ファイナンス、そしてルールメイキングを専門としています。
現在、私は香川県に移住し、主に中四国地域で、Web3特区の構築、ソーシャルセクターやスタートアップのエコシステムの構築、そしてDAOを活用した協力共創のサイクルの実現に取り組んでいます。
本嶋氏は、ルールメーキングに焦点を当てたDAO(RMD、RULEMAKERS DAO)や、日本DAO協会の活動について説明し、自らが関わった具体的な取り組みを中心に、様々なDAOを分類して紹介しました。具体的には、NEO四国88箇所祭りや空き家・古民家の活用を目指すDAO、漁業関連の陸上養殖を促進するDAOなどについて、その概要と目的を解説しました。
「合同会社型DAOに関しては、最初はトークン発行による資金調達などで小規模から始めるかもしれませんが、将来的な拡大を考えると、IEOや取引所への上場を考慮する必要があります。その際に重要となるのが、所有する仮想通貨に対する税制です。総合課税ではなく、分離課税が必要だと主張しました。」
最後にスピーチしたのは、日本とスイスに拠点を持つ企業の代表を務める岡崇氏でした。岡氏は、分散型自治組織(DAO)の理念や従来の組織との違いについて説明しました。岡氏は、企業の活動に一部活用可能なとして、「トークン」「スマートコントラクト」「ガバナンスメカニズム」というDAOの”三種の神器”に言及しました。これにより、「計測可能な成果への変換」「ステークホルダーの可視化・組織化・結びつけ」といったメリットがもたらされる可能性を示唆しました。
「8つの質問に回答することで、目指すべきまたは取り組みやすいDAO(分散自治組織)のタイプを特定できる「DAOセレクションフレームワーク」が提示されています。これにより、各質問に対して2つから5つの選択肢が用意されており、たとえば、「組織の目的に最も適しているのは?」という質問には、「A 新規事業の立ち上げ/B 既存事業の改革/C コミュニティ形成・強化」から選択肢を選び、「理想的な組織形態は?」という質問には「A 法人として運営/B コミュニティベースで運営」といった選択肢が提示されています。」
「メインセッションが終了した後、参加者はテーブルごとにグループディスカッションを行い、それぞれの意見や感想を交換しました。」
その場では、DAOに取り組む目的を明確にする必要性や、地方創生DAOの成功条件に関する意見が提示されました。さらに、DAOはトップダウン型の組織ではないものの、「立ち上げや拡大においては、(イーサリアムのヴィタリックのような)情熱を持ったリーダーが不可欠ではないか」という指摘も多く見られました。
さらに、各スピーカーのスピーチ終了後には、質問や疑問が具体的に提示される質疑応答の時間が予定されていた。
「「N.Avenue club」のラウンドテーブルは、定例のクローズドイベントで、先進的なケーススタディが紹介されるだけでなく、Web3に携わる参加者たちが高度なディスカッションを展開しています。これらのイベントは毎月開催されており、主催者は、Web3ビジネスに興味や関わりのある企業関係者やビジネスパーソンを積極的に招待しています。」
「執筆者:瑞澤 圭、編集者:CoinDesk JAPAN編集部、撮影:多田圭佑」と言い換えることができます。
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