Stripeが最近、日本、オーストラリア、シンガポールの男女18歳以上を対象にアジア太平洋地域(APAC)の代表となる消費者調査を実施し、今後10年の間に消費者がどのような決済技術を求めているかについて明らかにしました。
「オーストラリアとシンガポールでは、キャッシュレス化が加速し、リアルタイム決済や後払い決済(BNPL)、生体認証決済などの新たな方法が普及していますが、日本では依然として「現金」と「QRコード」が一般的な決済手段であることが明らかになりました。」

主な調査結果は以下のとおり。
現在と10 年後の対面決済の変化
- 「3カ国の市場全体で一般的に利用されている支払い方法は、「クレジット/デビットカード(70%)」であり、その中で「現金」派は68%です。特に日本市場単体では、未だに「現金」が最も利用されており(73%)、今後10年以内に「クレジット/デビットカード」の使用が減少すると予測する人は52%です」
面と向かって行う店頭決済において、日本、オーストラリア、シンガポールの総合的なデータによれば、70%の回答者が「クレジット/デビットカード」を最もよく使用する方法とし、また68%の回答者が「現金」を好んで使用することが示された。3カ国を比較した結果、現金の使用率が最も高い国は日本であり、73%が現金を最も好んで使用している。2023年時点で、日本のキャッシュレス決済比率は39.3%となっており、徐々に増加しているが、依然として現金が主要な支払い手段であることが明らかとなった。さらに、3カ国全体で「クレジット/デビットカード」を好んで使用する人が7割であったにもかかわらず、今後10年の間にはその割合が52%まで減少すると予測され、他の支払い手段がより活用されることが期待されている。
- 日本では、他国に比べて、対面決済において「QR コード決済」を選択する割合が圧倒的に多い傾向があります(44%)。しかし、10年後の3つの国における利用意向は平均して現在と同様に変わらない見込みです。
日本において、支払い方法としてよく利用されているのは、「クレジット/デビットカード」と「現金」に次いで、「QRコード決済」が44%で3番目に位置していることが明らかになりました。日本でのQRコード決済の普及率が高い理由には、日本で生まれたQRコード自体への親しみがある点や、各事業者が実施するキャンペーンや導入のしやすさなどが考えられます。
一方、日本と比較すると、シンガポールではQRコード決済を好む人が27%であり、オーストラリアでは6%であり、両国ともにその普及率が低いことがわかります。これから10年後の利用意向を見ても、3カ国の平均でほぼ横ばいであり、爆発的な普及は望めない状況です。特にオーストラリアでは、スマートフォンやデジタルウォレットを利用した決済が44%で主流となっており、さらにリアルタイム決済やBNPL(後払い決済)などが若い世代に人気を集めています。これらの国々では、決済手段がより多様化しており、送金完了までの時間が短いことや24時間365日の即時送金が可能な点が特徴として挙げられます。
- 「今後の対面決済の変化において、次の10年で「スマホやデジタルウォレット」に期待が高まる見込みがあります。世界の3ヵ国平均では、「生体認証決済」への期待値が12ポイント上昇する中、日本ではわずか1ポイントの向上となり、生体認証に対する期待や理解がまだ不十分な可能性もあるとみられています。」
10 年以内の対面決済の意向変化について調査したところ、「現金」の使用について 3 カ国平均で 44% が「やめていると思う」、そして「クレジット/デビットカード」については、32%が「やめていると思う」と回答した。各国で比較すると、「現金」の使用中止を予想しているのはオーストラリア 45%、シンガポール 61%であるのに対し、日本は 25% と低い結果になっており、日本は現金への信頼が厚く、長期的な利用意向も高いことが伺える。さらに、「クレジット/デビットカード」使用については、オーストラリア 35%、シンガポール 50%が「辞めていると思う」と回答したの一方で、日本はたったの 10%と大きな差があることが見受けられる。そのため、日本では今後 10 年も、「現金」と「クレジット/デビットカード」が主流の決済方法になると予測される。
一方で、「現金」と「クレジット/デビットカード」以外で、10 年以内にどんな決済方法を選んでいくことになるかを聞いたところ、3カ国平均で「スマートフォン/デジタルウォレット (45%)」、「QR コード決済 (26%) 」、「リアルタイム決済 (25%)」、「生体認証決済 (16%) 」、「ウェアラブル決済 (10%)」「 BNPL (後払い決済) (9%)」、「仮想通貨 (5%) 」という結果になり、現状と比較すると、デジタル決済の細分化がより一層激しくなっていくことがわかる。中でも「スマートフォン/デジタルウォレット」は現状の 36%から 45%と9ポイント上昇し、「クレジット/デビットカード」に次いで存在感がさらに増してくることが予想される。また、3カ国平均で「生体認証決済」が4%から16%へ上昇しているのに対し、日本は現状の1%から2%と変化はほぼ見られないという結果になった。

デジタル決済体験について
- 「デジタルペイメントの分野では、3つの国の平均では71%の人がオンラインでの購入に不満を抱えていますが、日本では55%と比較的低いレベルでオンライン購入に対する不満があることが判明しました。」
「令和4年度における電子商取引市場調査によると、2022年の世界のEC普及率は約20%(19.3%)で、キャッシュレス化の進展に伴い、今後も世界全体でのEC普及率は拡大の流れにあるとのことです。3カ国の平均では、「オンラインで買い物をする」と回答した人の割合が94%であり、その中で71%の人がオンラインでの購入体験に不満を持っていることが分かりました。ただし、日本の不満率は55%であり、オーストラリアの81%やシンガポールの78%と比較すると、約25ポイントほど低かったことから、不満度は日本が比較的低い傾向にあることが示されました。」
「ECサイトでの購入時における最も一般的な不満は、以下の通りであることが明らかになりました:「購入前にアカウント登録が必要 (42%)」、「配送料が分かりにくい (32%)」、「決済情報を手動で入力する必要がある (26%)」、「希望の支払い方法が利用できない (17%)」、「現地通貨で価格表示されていない (16%)」。決済前にかかる手続きの煩わしさが、ユーザーたちの不満の主要要因であることが明らかになりました。」

「三カ国の平均をとった結果、79%の人々が「オンラインで商品やサービスを購入する際に抵抗を感じることがある」と回答しました。抵抗を感じる理由としては、「オンラインで購入前に実物を見たいから(46%)」、「不正利用が心配だから(40%)」、「返品/返金の対応が難しいから(32%)」、「個人情報の安全性が信頼できないから(29%)」という結果が得られました。」
「3カ国を比較した結果、オーストラリアとシンガポールは日本よりも全体的にセキュリティーへの抵抗感が高いことがわかりました(日本:72%、オーストラリア:82%、シンガポール:82%)。特に不正利用への警戒心は日本よりも高い傾向にあります(日本:27%、オーストラリア:43%、シンガポール:49%)。しかし、日本は他国に比べて抵抗感が低い部類に位置しています。それでも、日本でも不正利用や個人情報のセキュリティーに関する信頼性の低さから抵抗感を抱く人が一定数存在していることが明らかになりました。これは日本社会における重要な課題の一つと言えるでしょう。」

ECや決済におけるAIへの期待
- 現時点でECや決済においてAI機能の有用性を認める割合は72%であり、男性は女性よりもAIチャットボットツールを評価していることが明らかになりました。さらに、今後はECや決済において、AIによる不正利用対策やレコメンドエンジンの活用を期待する声があることが示されています。
生成 AI過渡期の今、AIを実装しているECサイトも多く、消費者のオンラインショッピング体験の向上が期待されている。「EC や決済においてAIは役立っているか」という質問に対して、3カ国全体で 72% の人が「役立っている」と回答した。役立っているAI機能については、「不正利用の防止 (51%)」をはじめ、「頻繁に購入する商品のクーポンやお得情報のおすすめ (37%) 」「AIチャットボットツールを利用した購入時における問題解決 (28%) 」などが挙げらる。男性は女性よりも、AIチャットボットツールでの問題解決を評価しており (男性:31%、女性:25%) 、「AIチャットボットツールを利用して商品を購入する能力」も評価していることから (男性:16%、女性:10%)、男性の方が女性よりもAIの活用に意欲的だった。
「3つの国全体の59%が、商品やサービスの購入時にAIがもたらす潜在的な利点として、「詐欺や不正利用の防止」を挙げており、他にも「個人情報の保護(56%)」、「問題解決(48%)」、「支払いプロセスの高速化」などがありました。単なるECでの購入や支払い体験の向上だけでなく、増加している不正利用や詐欺に対処する方法として、AIへの期待が高まっていることが明らかになりました。」

この調査結果に基づき、Stripeジャパンの代表取締役であるダニエル・へフェルナン氏は、
「現在は現金やクレジットカード/デビットカードによる支払いが一般的ですが、次の10年ではデジタルウォレットや生体認証による支払い、ウェアラブルデバイスを使った支払いなど、さまざまな決済方法が普及していくことが予想されています。これらの変化に非常に興味を持っており、Stripeは日々進化する決済手段に迅速に対応するため、決済プラットフォームのオープンエコシステム化を実現しました。」
と語った。
【調査概要】
– 調査方法:インターネットを利用したアンケート
– 調査を委託した機関:YouGov
– 調査の実施期間:2024年6月18日(火)から25日(火)まで
– 対象地域:オーストラリア、シンガポール、日本
– 被調査対象:18歳以上の男女、N=3,048名(日本の場合はN=1,022名)
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