- ジャクソンホールで8月22日に予定されているジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による講演を前に投資家が慎重になったため、暗号資産(仮想通貨)市場はさらに下落した。
- ビットコインは11万4000ドルを下回り、14日の過去最高値から9%下落した。多くのアルトコインも、さらに大幅な下落を見せた。
- 予想を上回る生産者物価指数(PPI)の報告がインフレ懸念を再燃させた後、投資家はFRBが9月に利下げを行う可能性について再考している。
投資家たちは、8月22日にジャクソンホールで行われるFRBのパウエル議長の講演にタカ派的なサプライズがあるかもしれないと慎重になり、ビットコイン(BTC)が11万4000ドルを下回るなど、暗号資産は19日も下落を続けた。
ビットコインは米国での取引セッションの早い時間に11万3700ドルまで下落した。これは約2週間ぶりの安値であり、14日の12万4000ドル超えの過去最高値からは9%の反落となった。
イーサリアム(ETH)は過去24時間で3.5%下落して4200ドルを下回った。主要なアルトコインも例外ではなく、チェーンリンク(LINK)、アバランチ(AVAX)、トンコイン(TON)、エセナ(ENA)、アプトス(APT)は過去24時間で4%~6%下落した。
この暗号資産市場の反落は、伝統的な市場がリスクオフに転じたことと並行して起こった。ナスダックとS&P 500指数は、米国時間19日午前にそれぞれ、0.9%と0.4%下落した。
暗号資産トレジャリー企業を見ると、バブルが引き続き収縮していることがわかる。ビットコインの取得に力を入れているKindlyMD は19日、さらに14%下落した。
イーサリアムに焦点を当てたビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(Bitmine Immersion Technologies)とシャープリンク・ゲーミング(Sharplink Gaming) は、それぞれ10%と8%下落した。
ャープリンクは5月下旬にイーサリアムトレジャリー企業への転換を機に124ドルの高値まで急騰したが、現在は18.60ドルまで約85%も下落している。
この分野の元祖であるマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏のストラテジー(Strategy) は、19日に5.7%下落し、過去1カ月で20%安、昨年11月に記録した史上最高値からは37%安となった。
しかし、セイラー氏が約5年前にビットコインの購入を開始して以来、同社の株価は20倍以上も上昇したままである。先駆者にはそれなりの利点がある。
ジャクソンホールでのパウエル議長の講演
これまでFRBによる9月の利下げを既定路線と見ていた投資家たちは、カンザスシティ連邦準備銀行の経済シンポジウムにおける22日の基調講演で、パウエル議長が金利据え置きを主張する可能性を考慮している。
最近の雇用市場の軟化や景気減速の兆候にもかかわらず、先週の予想をはるかに上回る生産者物価指数(PPI)の報告が、インフレが再び加速するのではないかという懸念を再燃させた。
バンク・オブ・アメリカのエコノミストらはレポートで、FRBが9月に金利を据え置くと見ていると述べた。
アナリストらは、「過去1年間、インフレ率がほぼ横ばいの状態が続いていること、我々が依然として予想している関税の価格への転嫁、そして労働力供給の状況が失業率を歴史的な低水準に維持していることを考えると、FRBが据え置きを継続すべきであるという強力な論拠がある」と述べた。
CMEのFedWatchツールによると、市場参加者は来月の25ベーシスポイントの利下げ確率を85%と見ており、先週のある時点での98%という高水準から低下した。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Eva Blue/Unsplash
|原文:Bitcoin Drops Below $114K, Ether Loses $4.2K as Jackson Hole Speech Might Bring Hawkish Surprise