- タイはバーツでのQR決済に対応したツーリストウォレットを導入したが、暗号資産への変換機能は規制当局の審査待ちとなっている。
- ツーリストウォレットは、国境を越えたQR決済に対応していない国からの旅行者の支払い負担を軽減することを目的としており、現金、クレジットカード、銀行振込によるチャージが可能。
- ツーリストウォレットでの暗号資産への変換には、安全性とコンプライアンスを重視した規制当局の承認が必要であり、審査プロセスが完了するまで利用できない。
タイは外貨でバーツでのQR決済を可能にする「ツーリストウォレット」を導入したが、暗号資産(仮想通貨)への変換機能は8月下旬までに終了する予定の規制当局による審査を待っている状態だ。
タイ銀行は、ツーリストウォレットは現実的な問題を解決することを目的としていると述べている。国境を越えたQR決済は現在、シンガポール、マレーシア、そしてまもなく銀聯(UnionPay)経由で可能となる中国を含む8カ国のみが利用できる。その他の国からの旅行者はタイでの支払いに依然として煩わしさを感じており、この新しいウォレットはこの問題の解決を目指している。
観光客は、クレジットカードやデビットカード、海外銀行送金で現金をウォレットにチャージできる。利用限度額は、カード決済端末を備えた店舗の場合は月50万バーツ(約225万円、1バーツ4.5円換算)、小規模店舗の場合は月5万バーツ(約22万5000円)となっている。現金の引き出しは禁止されており、口座の解約は残高の清算によってのみ可能である。
しかし、暗号資産については条件付きとなっている。タイの証券取引委員会は、規制対象の取引所やカストディアンが、外国人観光客が暗号資産をバーツ建ての残高に安全に交換し、ツーリストウォレットで利用できるかどうかを検証している。
この制度では、パスポートを用いた顧客確認(KYC)が必須となる。規制当局は、ミュール口座(不正に使用される口座)やマネーロンダリングへの懸念を指摘している。サンドボックスと呼ばれる規制審査プロセスが終了し、規制当局が結果を公表するまで(現在、8月下旬に予定されている)、暗号資産保有者は直接それを使うことはできない。
現時点では、ツーリストウォレットはQRコードの利便性を持った法定通貨であり、暗号資産の導入はサンドボックスプロセスの結果を待つことになる。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Thailand’s Digital Tourist Wallet Rolls Out, With Crypto Link Still Stuck in Sandbox