「暗号の世界で2025年に開催されたWebX2025が8月25日と26日に開幕しました。初日の25日には、主催者によるオープニングの後、石破首相、武藤経産大臣、加藤財務大臣がそれぞれ登壇しました。」
石破首相は、先週行われたTICADにおいて、「地政学的な不確実性が高まる中で、新たな経済成長を達成し、社会問題を解決するためには、スタートアップの力が非常に重要である」と述べた。
「現在、世界は100年に一度の変革期に差し掛かっており、2020年代が大きな産業革命として歴史に刻まれるだろうと述べつつも、日本の人口減少問題を指摘し、西暦2100年には日本人が半減するだろうと述べている。この歴史的な転換期において、新たな分野であるWeb3を切り拓くスタートアップは、どのような考えをし、どのような製品を作り、どのような世界を構築すべきかをWebX2025の参加者にメッセージしている。これは日本独自の問題に留まらず、世界全体に関わるものであることを伝えている。」
武藤経済産業大臣は、「世界ではWeb3や暗号資産に関する誘致や政策が非常に進んでおり、かつ大胆に進む速さがある」と語り、アメリカでジーニアス法が成立し、トランプ大統領が迅速に署名したことによって「強固な国家としての意志」を感じ、「日本もこうした国際的な流れに取り残されないよう強い決意を持っている」と述べた。

加藤財務大臣が基調講演
石破首相と武藤経産大臣の挨拶に続いて、加藤財務大臣が基調講演を行い、内閣府特命担当(金融担当)として兼任する金融庁が暗号資産に関する取り組みを振り返った。

加藤財務大臣は、日本の仮想通貨口座数が1200万を超え、セキュリティトークンの発行総額が1700億円を突破したことに触れ、最近では円建てのステーブルコインが注目を集めていることから、円建てのステーブルコインがどのように発行されているかを紹介した。



「発行パターンに関する説明は、金融庁の資料などでおなじみの内容だが、大臣の講演資料には具体的な発行パターンが初めて掲載されたのではないか。ステーブルコインの利用シナリオについても、例えば、グループ企業内での資金の管理や国際貿易の支払いなど企業間の取引の効率化が期待されると述べられた。」
アメリカの経済戦略
加藤財務大臣は、最近の動向を考慮し、Web3の重要性に関連して、「新たな経済のフロンティアにおける国際競争力の向上」と「成熟期における配慮の必要性」の2つの観点が欠かせないと指摘しました。特に、アメリカの取り組みを国際競争の視点から注視する必要があり、暗号資産関連ビジネスを次世代の重要産業と位置づけ、これを通じて経済競争力を強化する総合的な戦略が必要だと述べました。

基調講演の後半では、現在、進行中の暗号資産の規制枠組みの見直しについて言及し、「資金決済法」の代わりに「金融商品取引法」の枠組みを活用することが検討されている。

「そして、もうひとつの問題である課税についても、年末の「令和7年度与党税制改正大綱」において、法整備等を前提に見直しを検討するとされることが報じられた。金融庁は、この前提に基づく必要な対策を検討していくと述べた。」

「年末にまとめられる与党税制改正大綱が、ほぼそのまま税制改正大綱として閣議に提出され、閣議決定されると、財務省が改正法案を作成し、翌年の国会に提出され、可決されれば翌々年の課税から適用される仕組みとなる。」
「暗号資産やWeb3がアメリカのグローバル経済戦略の中心に位置づけられる中で、日本がどのように対応すべきかが注目されている。石破首相、武藤大臣、加藤大臣の挨拶や基調講演から、その危機感が伝わってきた。」
|文・写真:増田隆幸