- 9月のFRB利下げ期待の後退を受け、暗号資産市場ではイーサリアムとビットコインのロングポジションを中心に2億7000万ドルの清算が見られた。
- トレーダーはジェローム・パウエルFRB議長のジャクソンホール講演を前にリスク調整を行っており、ETHのインプライド・ボラティリティは上昇している。
- ビットコインとイーサリアムの価格は下落したが、XRPは堅調に推移し、市場全体の調整を反映している。
暗号資産(仮想通貨)市場は過去24時間、イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)のロングポジションを中心に2億7000万ドル(約391億5000万円、1ドル=145円換算)相当の清算がトレーダーに押し寄せ、強気な投資が巻き戻された。
この急落は、9月のアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待の後退と重なっており、分散型予測市場のポリマーケット(Polymarket)では利下げなしのオッズが12%から26%に急上昇した。この動きを受け、一部の投資家は22日金曜日に予定されているジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長のジャクソンホール講演を前にリスク調整を迫られた。
Derive.xyzの創設者ニック・フォースター(Nick Forster)氏は18日のレポートで、この動きは構造的な変化ではなく、短期的なポジションのリセットだと指摘した。
「暗号資産市場は過去24時間で激動が見られ、2億7000万ドル以上の清算が発生し、その内訳はETHが1億7000万ドル(約246億5000万円)、BTCが1億400万ドル(約150億8000万円)となっている」とフォースター氏は述べた。
「これらの大部分(95%)はロングポジションで、ETHが3%、BTCが2%の比較的緩やかな下落によって引き起こされた。また、この急落は、9月のFRB利下げ期待が後退した中で発生した」とフォースター氏は述べている。
このマクロ経済による価格変動はデリバティブ市場にも波及した。Deriveのデータによると、ETHの7日間インプライド・ボラティリティ(IV)は68%から73%に上昇しましたが、30日間IVは横ばいだった。この乖離は、トレーダーが今後のセッションで乱高下を予想しているものの、長期的な売り圧力にはまだ備えていないことを示唆している。
フォースター氏は、BTCが9月の取引終了までに10万ドルに到達する確率は15%から21%に上昇し、ETHが月末までに4000ドルまで下落する確率は60%に上昇したと指摘した。
シグナルプラス(SignalPlus)のインサイト担当責任者であるオーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏は、市場はすでに50ベーシスポイント(bp)の大幅な利下げの可能性を排除していると指摘した。
「9月の会合で50bpの利下げが実施されるという期待は打ち砕かれ、金曜日の引け時点で1回の利下げが90%織り込まれている」とファン氏は述べた。「今週後半のジャクソンホール会合に注目が集まるだろうが、インフレを背景に、新たなハト派的なサプライズは期待できない」。
こうした状況は主要暗号資産の重しとなっている。ビットコインは11万5000ドル付近の約2週間ぶりの安値に下落し、イーサリアムは4240ドル付近で取引された。エックス・アール・ピー(XRP)は3.02ドルで堅調に推移したが、週間上昇率は前日の9%高から4%に縮小した。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Crypto Traders Eye Jackson Hole as Ether, XRP, Solana Drop Sharply in Retreat