ソフトウェア開発企業のアステリアは、9月16日に、ノーコードアプリ開発ツール「Click」を提供するMikoSea(ミコシー)を子会社化する株式譲渡契約を締結したことを発表しました。都内で行われた記者会見では、アステリアが出資するJPYC社が今年の秋に発行を予定している日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」の普及を目指して、Click内に連携機能を導入することが明らかにされました。
「Click」は、スマートフォン向けのネイティブアプリやWebアプリを開発するための純国産のノーコード開発ツールです。このツールは、ドラッグ&ドロップの直感的な操作でアプリを作成することができ、2万7000人以上のユーザーに利用されています。これまでに7万個以上のアプリがClickを使って作成されています。

新機能の導入により、Clickで作成したアプリにJPYC決済をスムーズに組み込むことが可能になります。すでに、「PayPay」や「Fincode」といった決済ボタンをノーコードで導入できる仕組みが存在しますが、同様に「JPYC」も追加される予定です。JPYCの提供は発行開始から1カ月以内を予定しており、アプリ開発者は簡単にユーザーがJPYCで支払いできるようになります。
「記者会見では、アステリア株式会社の代表取締役社長である平野洋一郎氏が登壇しました。平野氏は、企業の基幹システムを含むさまざまな製品に、ノーコード開発ツールである「ASTERIA Warp」や「Platio」を組み込むことで、中小企業や個人事業主を含む幅広いユーザー層に対応できると述べました。これにより、従来の強みであったBtoB市場に加えて、Click社が保有するBtoC市場への展開も実現し、「ノーコードポートフォリオ戦略」を拡大し、JPYCの普及を促進することを目指しています。」

「この会社は先日、JPYCの普及を促進する第一段階として、ASTERIA Warp専用の「新JPYCアダプター」を開発すると発表していました。そして今回のClickとの連携は、普及促進の第二段階に該当します。」
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MikoSea代表取締役CEOの工藤亮太氏が登壇しました。アステリアの連結子会社となった後も、工藤氏がCEOを続投することを発表しました。工藤氏は、国内でのエンジニア不足とデジタル赤字の増加を背景に、非エンジニアでもアプリを開発できるツールの重要性について語りました。
「それに加えて、JPYC決済が導入されれば、既存の7万以上のアプリも利用可能になると説明されました。手数料がほとんどかからないJPYCは、飲食店や個人経営のジムなど、クレジットカードや電子決済にかかる手数料負担が大きい小規模事業者にとって魅力的な選択肢になり得ると指摘しています。これまで非現金決済に慎重だった事業者から需要も期待されています。」

「JPYC社は、8月に資金決済法に基づく資金移動事業者としての登録手続きを完了しました。これにより、日本円と1:1で連動するステーブルコインを発行することが可能となり、今秋からその発行を予定しています。Clickを通じてJPYC決済が導入されると、国際送金やキャリートレードなどの需要に加え、日常的な決済手段としても普及が促進される可能性があります。」
文章:橋本祐樹による文章|上の画像:株式譲渡契約を結んだMikoSeaの工藤氏(左)とアステリアの平野氏